子供のころは理解できないことだらけやから、あらゆるものごとをとりあえず受け入れていた。
算数の公式を受け入れる。幽霊も校庭に出る露出狂の噂も信じる。テスト中に担任がギターの練習をするのも、同級生の名字が変わるのも、元気な先輩が学校中のコンセントを破壊するのも、ひとまず「こういう出来事がありました。」と覚えておく。
そんな感じだったから、善悪とか空想と現実とか一日の終わりとか色々なものの境界が曖昧だった。あそびがあるから身軽で気楽に動き回れた。どうせわかっていることの方が少ないから「よくわからないところに行く怖さ」をあまり感じなかった。
全部わかった気になって、動けなくなることが最近増えた。
頑なになっているのであの頃に立ち返りたい。