世紀末の時代、僕は匿名掲示板には真実が書かれていると信じ込んでいた。
(中略)
伸びるものもあれば伸びないものもあり、それらの釣果はまちまちだけど1つ確実に言えるのはそれらのほぼ全てがウソであるという事だ。
僕の書いた嘘を本気にした人たちが、アドバイスやマウントを投げかけては去っていくのを見るたびに、あの頃自分が真実だと思っていたことも同じように嘘であったことを実感する。
狭い画面の中で見てきた、この世界中のありとあらゆる奇妙な出来事、クラスの誰もが知らない自分だけが知っている、嘘みたいだけど本当にあった話、それらのうちで本当に本当だったのはきっと1割にも満たないだろう。
生身の人間が嘘ばかりつくのならインターネットで人は真実を語るはずだ、そんな生温い願望を持ち続ける者たちを釣り上げることで、自分の中で何らかの効力感を得ようと目論む人種がインターネットには多数潜んでいる。
僕もかつて、その願望に振り回された1人であり、今はその願望で人を振り回す1人である。
インターネットは嘘ばかりだ。
現実も当然のように嘘ばかりだ。
嘘ばかりの世界で生きていくには、それを楽しめるようにならないといけない。
そのために僕は今日も嘘をつく。