小学生のころ工作でうちわを作ったことがある。紙に好きな絵を描いて、糊付けした骨の両面に貼って、縁を止める。簡単な作業だけどそれなりに時間のかかるものだ。プラスチックの骨に当時飼っていた鳥の絵が入ったそれは、思い出はあるけれどなにぶん重いからだんだん使わなくなって、今はもうどこにあるのかわからない。
でもわざわざ作らなくても夏の街を歩いていれば広告の入ったうちわを配られる場面に出くわす。特にこだわりなどなかったから学生のころは貰ったそれで済ませていた。今はもうない店舗の、むやみに高い化粧品の広告が載った、竹の骨でできた軽くて丈夫なうちわだ。
大人になって、アイドルを追っかけるようになって、そうなると当然応援うちわを買うことになる。高いものではないけれど、それでもそれまでなら貰うようなものにお金を出すのは・・・と最初は抵抗感があったけどもう慣れた。プラスチックの骨で貼られているのは良い紙だからそのぶん重いうちわだ。
それで今わたしが使っているのは、街で貰った広告入りのうちわだ。お金を出して買ったわけでも思い出があるわけでもないけど、うちわは軽いのが一番なのだ。