でも楽しかったな。
思い出すのは、お茶会帰りとかお食事会帰りの日が暮れた大劇場近辺の空気。
昼間の喧騒が嘘のように静まり返ったムラを、一人ぼっちでヒールの音を高らかに鳴らしながら歩いた。
今公演のお芝居の中で小道具として出てきてたやつだ。
グループでいるおたくたちの群れが苦手で、少し離れたファミレスまで歩いて行った。
二時間で出てくると言った贔屓は、たくさんのファンを放置して勝手に帰っていった。笑
暴君だったけど、でもだいすきだったから、そんな仕打ちを受けても笑ってた。
退団公演だなんていうしんみりした雰囲気を吹っ飛ばすその心意気が面白くて笑った。
それでも私のことが好きなんでしょ言われて、ぐうの音も出なかった。
惚れた弱みだ。しょうがない。