別に顔が良かったわけではない。何やら憎めない顔をしていたらしいのだ。
もともとの皮肉家で人をいじって笑いを取るのも得意だし、鋭い一言をぶっこんでくだらない議論に終止符を打つことも少なくなかった。
かといって別にそれで人に恨まれたようなことはないし、特別に嫌われるようなことはなかった。
自分の中では特別にきついことをいったつもりではないのだが、その後も周りからチクチクと小言を言われて、とうとう本人の前で謝ることになった。
いまだに最近の若者が軟弱なだけだと思っている反面、本人だけでなく周囲からも「あれはない」といった言葉を聞くようになって、何やら勝手が変わってしまったのではないかと疑い始めた。
そう思うといつものノリで話をしているだけなのに、店員が妙に萎縮していたり会社でも変な気遣いをされることが増えたような感じがする。
それで思い当たるフシと言えば加齢による見た目の変化以外になかった。
強面になったわけではない。些細な表情の違い程度かもしれない。
今更何を変えればいいのかも見当がつかず、これからはこの性格のまま人から嫌われていく人生を歩むことになるのかと思うとただひたすら気が重くなった。
何を言わんとしたか忘れてしまったのだが、見た目で許されているものはある日突然奪われることがあるので、日々内面を磨くことを怠るなということにしておこう。
何て言って泣かせた? 今までは「若いし仕方ないか」で許されていたんじゃねぇか。顔関係ねぇよ。
大人の言動には「責任」が伴うからな。 顔関係ねぇ!
もともとの皮肉家で人をいじって笑いを取るのも得意だし、鋭い一言をぶっこんでくだらない議論に終止符を打つことも少なくなかった。 かといって別にそれで人に恨まれたようなこ...