2018-01-04

2078年

息子「ばーー!」

娘「わー、ちょっとやめてよ!」

妻「何やってんの、台所から生皮を勝手に持ち出して!」

やれやれ、この機会に差別問題について子供たちに教えてやるか ー

私「おーい、生皮を被るのがなんで駄目なのか知ってるか?」

妻「ちょっと、話終わったら台所に戻しておいてよ!」

息子「え?もったいないから?」

娘「しらなーい」

私「うん、それも理由の一つだ。でも一番の理由はそれが人工生物への差別になるからなんだよ」

息子「えー、ってあのペットみたいなやつ?」

私「うん、確かに大半の人工生物は知能的にも肉体的にもペットぐらいの使い道しかないけど、最近は改良によって我々の単純作業ぐらいはこなせるものも出てきたんだ。数年前のノイマン誕生ニュースはお前も覚えているだろう?」

娘「ノイマンしってるー!」

私「そこで最近は、人工生物にも人権を認めるべきという先進的な議論も活発になり、一部の国では実際に認められるケースも出てきたんだ」

息子「えー、でも大したことできないよ?すぐ死ぬし、あいつら」

私「そういう問題じゃないんだよ、見た目や能力出自によって人権を持つもの差別されるべきでは無いんだよ、だから自分より劣っているからといって見た目を馬鹿にしたりしてはいけないよ?」

息子「はーい」

娘「はーい」

ー 私は居間を後にした。60年ものヴィンテージ生皮をつまみ食いしながら ー

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