22歳の頃は京都駅から地下鉄で数駅のところに住んでいた。京都駅までは真っ直ぐな通りを歩けば辿り着く事もできた。東本願寺でにわか雨に遭って屋根を借り、駅前のヨドバシカメラの地下にあるスーパーで食材を買い込んでから帰った。夏の明け方にバイクで琵琶湖まで走った。祇園祭の宵山を見た。三条のお気に入りのカフェはコーヒーが美味しくて煙草が吸えて、いつも賑わっていた。冬の鴨川の河川敷や高瀬川沿いの桜が好きで、木屋町から祇園へ抜ける小道の小川が好きで、思い出せばきりがないけれど、石畳みを跳ねるように歩きながら私は本当に必要なものや人たちを東京に置きっ放しにしていること、この自由な振る舞いには時間制限があること、もっともらしい理由と確かな結論から逃げている後ろめたさにいつも潰されそうだった。ただただ楽しい毎日の中でいろんなことを忘れたけれど、地に足がつかないまま判断能力をなくしていく自分の不健康さに胸が焼けた。
読んでしみじみした! この増田、まだ生きてるだろうか?