何かを紛失した時、痴漢に遭った時大抵誰にも苦しみを訴えずに泣寝入りする。
失くした事実が恥ずかしいから、ミスを誰にも知られたくないから、SNSに載せて拡散して貰うなんて以ての外だ。お気に入りだったfoccilの時計も、あるフェスに参加した際に紛失した。前からベルトが緩んでいて何度か腕から外れてしまう事があったんだけど気にせず使っていたら案の定紛失した。三万円くらいの時計。警察に届け出たが出て来なかった。自分の愛着のある物じゃなきゃ使いたいと思う人はいないだろう。
飲み会帰りに店に置きっ放しにしてしまった和傘調の傘も、結局時間が無くて取りに行けなかった。高校時代から愛用していた電子辞書も、決して安くはなかったが盗まれたかも知れないと思うと逆に誰にも言えなかった。拡散して貰いたがる人は一縷の望みを託すのだろうけど、拡散してる人達は全く紛失した場所に関連の無い人達。それが善意の名の元に爆発的に無作為に拡散されていく。非効率的だけど、それを咎める者もいないから、こうして私の目に触れてしまうのだ