コストコの試食を大まかに分けると2種類ある。待ち時間のあるものと無いものだ。
これらを手に入れるための長蛇の列が形成されている。時折、試食待ちの列に気付かない老人がフラフラと横入りして来るのだが、いつの間にか結成された自警団のメンバーによって排除される。まるで戦後の配給を彷彿とさせる様な殺伐とした空気が漂っている。
長い時は30分近く待ってやっと、一切れの肉にありつく事ができる。
こちらは列の形成がされる間も無く人山の黒だかりが出来る。そこに秩序など存在しない。もはやサル山のサルである。力のあるサルは他のサルを押しのけて飼育員の側に行きエサを手に入れる。一匹で何個ものエサを独占しようとする者もいる。先程、列に並ばずに排除された年老いたサルもいる。
このサル山には一つだけ秩序が存在する。子ザルは飼育員から直接エサをもらう事が出来ない。「必ず大人の人に取ってもらって下さいね」と飼育員が言うからである。その言葉にちゃんと従う子供たち。「どちらかと言えば彼らこそ大人と呼ぶにふさわしいのではないか。」と、パンを頬張りながら私は日本の将来を憂慮した。
年会費の元を取るのに必死だからな。