三年ちかく恋人と同居している。
二人ともまあ、いい歳だ。
こっちの不安や焦りを無視してるわけだが、たんにのんびりしてるだけで、悪意はないと思う。
まず、名前を変えるのはいやだ。じいちゃんの名前が消えるのはいやだ。きっと恋人のほうにもそういう愛着はあるだろう。
次に、恋人の家族を実の家族のようにあつかわなくてはならないミッションをクリアする自信がない。そして自分の家族、めったに帰らないけど、の抱える問題に巻き込むのもいやだ。
そのほかにも家事ほとんどしないから自動化推進中、炊事やらない、世の中のもとめる「嫁」に、おれはなれない。
でも理屈をこうしてこねているけれども、結局そういう道を言い出せないのはそれで嫌われたらいやだ、という小娘のような発想で、ほとほと己の狭量さに目眩がする。