「わ」と「ね」は形は似ているが、読みに共通点はない。ややこしい。
五十音順で最初の文字「あ」は、ひらがなの中でも最も書くのが難しいもののひとつだと思っている。下半身のバランスが難しい。線が交わる箇所が3箇所あるが、この交点が重なってしまうと下手に見えてしまう。常に他の線がどこへ走っていくかを考えて書き進めなければならないのだ。これが一番最初に登場するのだから日本語学習者は大変だ。
それに比べるとアルファベットはどの文字もシンプルだ。「A」の堂々とした佇まいを見よ。
そんな「あ」も、いろは順では36番目である。いろは順で名誉ある第一位を戴いているのは「い」である。しかしこちらも最初のひらがなと言うほどの風格は感じさせない。これがカタカナの「イ」になると多少威厳が出てくるのは、テレビに最初に映るというお役目を果たしたためかもしれない。
ひらがなでバランスの悪さを感じるのは「を」である。カタカナの「ヲ」も、なんとなく異質な感じを受ける。これは文字自体の形・バランスから純粋にそういう印象を受けるのか、それとも助詞としてしか使われない「を」という言葉の特殊性から来るのか、よくわからない。
お気に入りのひらがなを挙げるとしたら「ゆ」かもしれない。上下左右に振り回されるアクロバティックさと、丸みを帯びたかわいらしさが同居しておりポイントが高い。