2017-02-01

金曜日の19時。仕事終わりのサラリーマンで賑わう繁華街の外れ。

待ち合わせ場所に現れた女は写真で見ていたのとは全くの別人で、ゆうに80kgはあるだろうと予想された。

いかにも慣れた様子で「行こっか」と歩き出した彼女の後ろを僕はひどく惨めな気分で着いてゆく。

経験が少ないです!」と言っていたのは本当にこの女か? 「よければドライブでも行きましょう!」と言っていたのは本当にこの女か? この女は本当に22歳なのか?

訳もわからず腰を振った。どこか自分俯瞰的に見ている自分がいて、なんて間抜けな姿なんだろうと思った。

女はすぐに帰って行った。さようなら、僕の1万8千円。

やりきれなくて飲めもしない酒を飲んだ。がぶがぶと飲んで、気付けば23時半を過ぎようとしていた。

週末の最終電車に青白い顔で乗り込む。飲み過ぎで気分が悪い。

なんとか座席に座って周囲を眺める。同じように飲み過ぎたサラリーマンが、フラフラとつり革に掴まっている。醜い。

電車の揺れは心地良い。僕はこのままずっと目的地に着かなければ良いのにと思った。

倦怠列車疲れた僕たちをどこまでも運んでくれればいい。

明日も、仕事だった。

0時を回る頃、最寄り駅に着いた。尿意を感じてトイレに駆け込む。

この駅のトイレはひどく汚くて、僕は極力使わないようにしている。この日も、小便器の周囲は誰かが零した小便で濡れていた。僕はその上に立つ。

尿意があるのに小便が出なかった。ここ最近はこんな調子だ。

隣の便器おっさんがやって来て、吐息と共にビチャビチャと小便を始めた。

わず「汚ない小便しやがって」と呟いた。

小便に汚いも綺麗もないだろう。

次の日の朝は起きられなかった。

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