祖父も早くに離婚してて一人暮らしだったけど、なんか病気したらしくて病院に行くのも大変だってので母親と一緒に住んで在宅介護してた
元々常日頃から怒声罵声に杖や拳が飛び交う感じで、母と祖父の親子仲はあまりよくなかったのかもしれないけれど、
ある日の夕食中、いつも通りやたらと横柄な祖父にブチキレた母親が、奇声を発しながらコンクリの土間に皿を叩きつけて割りまくり始め、
ジジイは怒鳴るし、オカンも叫ぶし、皿は飛び交うし、何かでどこかを切ったのか血は噴き出すしっていう状況になってしまった
アホらしいし投げられてたのが自分の茶碗ってわけでもないから直接関係ないと思って、引き続き「サンマ美味しいな♪」って食べてたら、途中からなぜか俺が二人がかりで怒られ始めた
すごい剣幕で両サイドから怒鳴られながらも頑張ってサンマを食べ続けていたのに、遂にサンマを取り上げられて、あえなくサンマフライハイ
正直あまり細かくは覚えてないけど、おそらく「オレ サンマ クウ ……オイシイ!」ぐらいしかその時考えられなくなってたっぽい俺は、
土間に落ちたサンマをジッと見て「まだいける」って言って床に座ってまた食べ始めたらしい
後はもう殴られても転がされてもドつかれても何言われてもサンマのところに戻って絶対サンマ食うボーイと化して、
最後には意地でもやめさせようとして引き剥がそうとする母親と祖父に向かって「いいからポン酢よこせや!!」と大声でキレて、
土間のサンマをおいしく完食してごちそうさまと言って部屋に帰っていったらしい
祖父が死んだあと、それが初めての反抗期だったとかしみじみ言われて、今もよくその話をされるけど、
聞けば聞くほど、いやそれ絶対俺どっかぶっ壊れてんじゃねーか笑い話にするなよって思う
でも、あの時の地べたサンマが猛烈に美味しかったことだけはなぜか鮮明に覚えていて、結局あのサンマを超えるサンマにまだ出会えていない
書いてて思ったけど、単に口の中が切れて血合がよりブラッディでジューシィになってただけかもしれない可能性に今気付いた
今夜試してみよう