今日もまたイワシの群れを掻き分けながら会社への道を歩いていた。
いつもより早い時間に家を出たおかげで電車の時間にはまだ余裕があったので、コンビニに寄って朝食を買うことにした。
コンビニは銭湯の煙突のてっぺんにあるので、螺旋状の外階段を50段ほど登らなければならなかった。
ようやく登りきって少し息を切らしながら店内に入ると、背中に大きく「海人」と書いてあるTシャツを着た店員が一人で暇そうにレジ番をしていた。
「国産の柔らか真珠を使用」と書かれているサンドイッチとトルマリン色のジュースを取ってレジに向かった。
私の前にはこのコンビニで時々見かける、犬くらいの大きさのキリンを連れたお婆さんが並んでいた。
店を出て階段を下りながら、私は単調な毎日を過ごすことにそろそろ限界がきていることを感じていた。
駅に向かって歩いていると、バス停にネコの形をしたバスが停まっているのが見えた。
私は反射的にそのバスへ乗り込んでいた。
しばらくすると、バスは駅とは反対の方向へ走り出した。
座席でコンビニで買ったサンドイッチを頬張りながら私は「もしかしたら今日はいつもと違う一日になるかもしれないな」と思った。