女性作者が、そこはかとなく男(夫)の悪口を書いているところが共通している。
不倫や虐待や隠れ借金など、女が道を外してしまうのは夫の無理解や無神経のせいだからと言わんばかりの内容だ。
特に、この両作品は「妻の不貞」すなわち夫を裏切って別の男と肉欲にふけっている女が少なくないという現実のふしだらな実態を、
フィクションという免罪符によって糊塗することに成功しているかのような顔つきで書店店頭にならんでいる。ばかばかしい。
ルネ・ナイトも角田光代も、いかに女性読者に「被害者気分」を味わってもらうかということに腐心している。
女性読者が「男(夫)の被害者」であることを疑似体験できる小説なのだ。両作品とも。ばかばかしい。