理論よりもどちらかというとXAYが、自己所有建築物件に抵当権を設定したり、附加物を設備したり、それの為に売渡抵当(売渡抵当とは担保を目的とする所有権移転)や、その売渡抵当物を更に賃貸するといった社会経済現象が生じていることの方が重要である。こういうものは本来当事者の合意でどうとでもなるところだが日本人は醜悪頑固なので合意ではどうにもならないから民法が必要になる。Yは抵当権の効力で絶対に自分に畳建具全部の所有権があるといい、XはAとの和解で売渡抵当かつ賃貸していた畳建具の所有権は自分にあるという。さて勝敗はどうやって決まったのだろうか。それは結局畳建具のどの部分に抵当権の効力が及ぶかという制度解釈であり、本件は、多分、差し戻された原審で、ガラス戸以外の畳建具についてはXに所有権があるが、ガラス戸にはYに所有権があるとしただろう。