どうやらおいしいものだということも知っている模様。
もちろん与えるつもりはない。原材料の先頭に砂糖が来る食品なぞ、虫歯を作りに行くようなものだ。
いずれは世間を知るために解禁するが、今はまだその時ではない。
そこで少々悪戯心が芽生えた。99%カカオを与えることにしたのだ。苦くて不味いものだと思い知らせるのだ。幻想をぶち壊すのだ。
99%カカオはかつて販売されていたチョコレート菓子で、名前の通り成分のほとんどがカカオマスという代物である。
発売当時は苦くて不味い粘土様物体として世間を騒がせたものだ。ちなみに私はけっこう好きだった。
そう、かつて販売されていたのだ。現在、探した範囲では99%カカオは発見できなかった。
次善の策として95%チョコレート効果を与えることにした。99%より若干口当たりはよくなっている気はするものの、やはり苦い物体である。
袋から出して与えると大喜びで口に入れた。親はすぐ吐き出すと予想していたのだが、なんとニコニコおいしそうに咀嚼しているではないか。
おおースゲーと思って観察していたら、口の周りにジワジワとチョコレート色の唾液が滲み出てきた。
どうやら飲み込めない様子。ゴミ箱をあてがってやったら吐き出した。そしてやっと苦そうな顔をした。
牛乳を飲ませてトマトを食わせて口の中をリセットさせてから「チョコレートおいしかった?」と訊いたら返事は「うん」だった。
面白かった。