本格的に暑くなる今くらいの季節。毎年思い出す。
母親は心配し、せめて脱水症状だけは気をつけるようにと水筒にはいつもポカリスエットを入れて持たせてくれた。
その遠足は別クラスの担任が何故か引率を努めることになっており、それが悲劇を生んだ。
「糖分が含んだ飲み物はすべて禁止。」とか急に言い始めた。
事前に渡されたプリントには一言もそんなことは記載されていない。
「水筒の中身にポカリスエットなどの甘い飲み物を入れてきた人は挙手するように」
この教師はしょっちゅう説教をすることで嫌われている教師であった。
しかし、周りで手を挙げているものはひとりもいなかった。そんな馬鹿な。
前回の遠足では結構な人数がポカリスエットやらジュースを持ち込んでいたはずだ。
説教が始まるのだろうと観念したとたん、水筒の中身をすべてぶちまけてしまった。
そして自分に水筒を渡しながら「次からは気をつけるように」とだけ言った。
その後は語るまでもないが、水筒のない遠足が楽しいはずもない。
自分以外にもポカリスエットやらジュースやらを持参したものは当然いた。
彼らは中身を隠して、上手く飲んでいた。
当日は湿度も高く、汗ばんだのをよく覚えている。実に美味かっただろう。
その担任の信念では「甘い飲み物 = 甘え」であり、遠足には持参することが許されぬ飲み物だったのだろうと思う。
当時も今もそう考えている。
またそれが当時の教育方針の主流だったのかもしれない。
事前説明がない。
なぜ捨てたのか、後々の教訓になるような説明をしない。
自主申告のみで、ずさんなチェック。
あの時、しっかりと理由を説明してくれれば、きっと 20 年以上経った今では思い出すことはなかっただろう。
同じような目にあった人は、当時いたのだろうか。気になる。
もしいたとして、ちゃんとした説明を受けていた方は教えて欲しい。
教師を恨む気持ちはない、ただ納得したいだけだ。