2014-05-16

ビリー・ミリガン 序

子供のころ、友人二人と一緒によく探検した。

緑の多い田舎だったので自転車ちょっと走れば潰れた工場廃屋などがあった。

当時、性に目覚めていた俺たちは、そういうところに捨てられているエロ本を見つけるのがとにかく楽しくて仕方がなかった。

とある夏祭りの夜、おれたちは遅くまで出歩けるのをいいことに、

祭りではなく、肝試しへといくことになった。

そこは、大人たちからは絶対に入るな、と言われている防空壕跡だ。

もちろんしっかりと封鎖されてはいものの、抜け道はいくらでもあった。

そこへ自転車で乗りつけ、俺たちは懐中電灯を片手に探検を開始した。

子供というのは愚かなもので、帰りの目印もつけずどんどん奥へと入っていった。

そして、突き当たりにぶつかるたび、右、右、右、と進路を取っていった。

急造された防空壕だったらしく、奥行きはほとんどなく、

何度も行き止まりとなり、もうあきらめて帰ろうとした。

その刹那

なにか声のようなものが聞こえた。

「なんか言った?」

友人Aか友人Bのいたずらだと思ったので、「やめろよ。」と言ったその刹那

またしても声が聞こえた。

さっと後ろを振り返る俺たち三人。

しかし真っ暗な闇がそこにはあった。

その刹那

なにかがさっと通り過ぎるのを感じた。

「なんだ今の?」

おれと友人Bが言うと、友人Aはその場でまるで意識を失うようにして、ひざから崩れてしまった。

「なんだよ。」

「脅かすなよ、ばか。」

「ごめん、ごめん。」友人Aはそういうとゆっくりと立ち上がった。

「なんか急に立ちくらみがしてさ。」

友人Aのことが心配になりおれたちは来た道を左、左へと戻っていった。

入ったときはまだ少し明るかったのに、すでにあたりは真っ暗で、遠くから夏祭りのざわめきが聞こえていた。

おれは祭りで両親と合流する予定になっていたので、

AとBとはその場で別れ、すぐに町へと急いでいった。

翌日。

友人Aの姿が教室にはなかった。

つづく

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