この時期になると街にクリスマスツリーが増えてくる。僕はそれを一人で見るのが好きだ。特に大きなやつ。
彼女居ない歴=年齢。
友人からは自分の心をえぐるなんてとか寂しくならないのかとか言われるけど、
見終わって帰る頃には不思議と心が満たされている。
もうかれこれ3年くらいは同じことをしてる。
でも今日の感じはなんかいつもと違った。いや、いつも少し感じている違和感がはっきりとした感じ。
壁を感じる。その光景は目の前にあるはずなのにやたら遠くに感じる。
その時気がついてしまったんだ。僕はこの光景を懐かしんでいるんだって。
中学生くらいから他人の恋愛をずっと傍で見てきた。うまくいった例なんてほとんど無かった。泥沼。
僕はそれはまだ幼いからだと思ってた。でも歳を重ねてからもそれは一向に良くならなかった。
みんな同じことを繰り返して疲弊していく。その話を聞かされると僕も疲れる。
周りのやつはアホばかりだと見下して、お互いに節度を持った恋愛に憧れ続けた。
でもそんなものなんて無かった。結局はみんな打算的だった。
クリスマスツリーの近くにいるカップルってお互いに身体を寄せ合ってるじゃん?寒さをお互いの体温で跳ね返してるじゃん?
それってそこだけ見れば本当にうまくいってるようにみえるよね?
そう。僕はクリスマスツリーが見たかったんじゃなくて、その下で仲睦まじく身を寄せ合っているカップルが見たかったんだ。
あの人達を見ることで、自分で叶えることはできないけど、その理想像は確かに存在するんだって満足してたんだ。そしてそこに壁を感じていたんだ。
映画でも見るような感じでその世界を遠くから鑑賞して楽しんでたんだ。