まとまった休みができたので、毎日ディズニーランドに行っていた。
特別な技術を身につけなくても、待っているだけで与えられる快楽も心地よい。
遊びの国で過ごすうちに、自分がロバになっていくのを感じたよ。
まず、そこで働くキャストと呼ばれる店員に顔を思えられた。
説明に「ご存知かと思いますが」という前置きがつくようになった。
次に、同じように毎日ディズニーランドに来ている客に顔を思えられた。
そこにいるだけで、なぜか小言を言われる。
ディズニーランドにも縄張りがあって自分はそこに迷い込んでしまったらしい。
その次は、出演者。
毎日決まった時間にでてくるキャラクターに、お前毎日いるなと身振り手振りでいわれた。
もうでてくるのはキャラクターではない。きぐるみを着たバイトだ。
お前は連勤か…。
気がつけば、そこは非日常な特別な場所ではなくなってしまった。
何度行っても見飽きないものがそこにはあったが、毎日でなくていい。
週に1回、月に1回、年に1回…毎日でなくていい。
早く忘れられたい。