http://anond.hatelabo.jp/20130323100108
日本において、わいせつ物頒布罪の構成要件である「わいせつ」に当たらないとする理由は、
この図画・小説は芸術作品である→芸術作品は「わいせつ」にあたらない→不可罰である
という論理です。
ポルノは芸術作品ではない→著作権は芸術作品にのみ与えられる→著作物にはあたらない
という論理です。
ここから、2つの意味で、前記両主張がダブルスタンダードとは言えないことがわかります。
まず、前者について見ればわかるように、当該図画・小説がポルノか否かは関係がないのです。むしろ、ポルノ小説であっても、芸術性ゆえに「わいせつ」にはあたらないという主張も成り立ちえます。したがって、日本における上記主張は「ポルノは芸術作品ではない」という主張を含意していないのです。
次に、前者は「芸術作品だからわいせつ物ではない」、後者は「芸術作品ではないから著作物ではない」と述べているわけですが、ここでいう「芸術作品」の意味は両者で異なるのです。「芸術作品」という同じ言葉で表されているがゆえに誤解が生じるわけですが、前者においては、「芸術作品」=「その芸術性ゆえに、わいせつ物頒布罪の構成要件から除外されるもの」であり、後者においては、「芸術作品」=「著作権法に基づいて著作権を付与することで著作物として保護すべき対象」を意味するのです。
要するに、前者の主張は、「この作品は芸術性が高いので『わいせつ物』にはあたらない」というものであり、後者の主張は、「この作品は芸術性がないので著作物として保護すべき対象にはあたらない」と述べているにすぎないのであり、「ポルノ」一般について「芸術作品」にあたるかどうか、という話はしていないのです。
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