2022-10-07

anond:20221007152818

子育て適齢期を迎えたエヌ氏は、さっそくバンク訪問した。

担当者は、卵子提供者の顔写真スペックの一覧を見せてくれた。

小一時間ほどかけて、この女性の子供ならきっと上手く育てられる。

そう確信できる卵子を選んだ。


あとは自分精子と授精させて人工胎盤で育成するだけ・・・

そのとき、ふと脳裏にこんな立派な卵子自分精子果たして本当に釣り合うのか不安を覚えた。

いっそのこと精子も厳選して選んだ方が、子供の為になるのではないか


担当者精子バンクから選んでもよいのか確認すると、

ずいぶんと怪訝な顔をされたが、制度上は問題ないとのこと。

エヌ氏はさらに数時間かけて、これだろうという精子を選んだ。

出来上がった受精卵は人工胎盤施設培養され、十月十日後には晴れて自分も独り親だ。

親として、これ以上ない最善の選択ができたと満足して帰っていった。








施設担当者は、預けられた卵子精子登録番号を見てため息をつく。

「また、この組み合わせだ。もう10世代目ですよ?大丈夫なんですか?博士?」

問われたエフ博士は、静かにうなずいた。

自由意志で選んだ結果が自分クローンだったとしてもなんの問題もないだろう。

しろ自分そっくりで育てやすいのかもしれないだろう?」


施設担当者は、何も言わず培養器のスイッチを入れた。

記事への反応 -
  • 子作りは卵子バンクや精子バンクから好みのものをチョイスでき、人工胎盤で子作りができる 子育てはアウトソーシング化が進み、独身でも子育てが可能に。(リモートワーク&週4勤務...

    • 子育て適齢期を迎えたエヌ氏は、さっそくバンクを訪問した。 担当者は、卵子の提供者の顔写真やスペックの一覧を見せてくれた。 小一時間ほどかけて、この女性との子供ならきっと上...

      • クローンになるってことは、Y染色体はまあ同じ人の精子なら全部同じにしても、 卵子・精子ともにそれぞれわざわざ常染色体22本が減数分裂の際同じ組み合わせになって発生したものを...

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