NFTアートに価値がないと言っている人の大半は理屈がおかしい。よく言われているNFTアートが無価値である根拠の中で、真にまずいのは、自作自演で値段を吊り上げられる点だけだ。実際そのせいで無価値になってもおかしくない。だが、それ以外は無価値と言い切る根拠にはならない。
これはいまの売り方では詐欺的なことが多いが、だからといって無価値だとはならない。
NTFアートは本質的に、数量限定で仮想の記念硬貨だ。いまは詐欺的に絵の所有権と結び付けられていることが多いが、実際には「絵を描いたのでその記念に硬貨を発行します」といったものだ(絵を描いていないこともある)。売っているのは絵ではなく仮想の記念硬貨だ。記念硬貨であれば価値が発生しても何もおかしくはない。
これはVALUと似ている。VALUは人間を対象にしていたが、NFTアートは行動したという事柄を対象としている。行動の成果(絵とか)や行動の労力(絵を描く労力とか)を売買しているわけではない。
なお、VALUがなくなった理由はGoogle検索によれば、自作自演で値段を吊り上げた連中のせいで人気が下がったかららしい。NFTアートも同じ問題を抱えている。
これもいまの宣伝の多くは詐欺的だが、NFTアートが無価値な根拠にはならない。
例えば「新しい画期的なAIを使ったウェブサービスを始めました!」と宣伝しているサービスがあったとして、その宣伝が嘘で実は普通のアルゴリズムや人力を使っていたとしよう。それでもそのサービスが問題なく運営できスケールできるのであれば、そのサービスは無価値ではない。
本人確認のために、NFT外の仕組み、例えば普通のウェブサイトやSNSやメールや電話や直接の会話などが必要だ。これにより詐欺の偽物NFTが出てきているが、致命傷にはならない。NFT外の仕組みを使えば本人確認はできる。
当然ながら、行動したという事柄が本当かの確認にもNFT外の仕組みが必要だ。例えば絵を描いていないのに描いたと言い張っている場合など。これも同じく致命傷にはならず、普通は何らかの方法で確認できる。というより、確認できないトークンは価値が上がりにくいだろう。ここでも自作自演での値段吊り上げの問題はある。
NFTアートに限らず全てのものが無価値だ 色即是空