2022-09-02

先生

僕がまだ大学生だった頃に先生出会った。先生と言っても大学学校教師ではない。私がそう呼んでるだけだ。ど田舎の裕福な家に生まれた僕は故郷の親や教師同級生たちの俗物さに呆れ、期待を抱いて大学に進んだ。父は「息子が大学に進んだ」という誇らしさと「学問やらせると小難しくなってろくなことがない」という相反する思いを抱えていたようだ。期待して進んだ大学でもまた学生教師たちの俗物さに呆れていた。夏休み、やることもなくて鎌倉でぶらぶらしていた時に先生出会い、そこから交流が始まった。

先生は私と同じ大学卒業生だった。生まれ資産家の家らしく、30代前半だったが仕事はせずに洋書論文を読んでブラブラしていた。先生の家には奥さんお手伝いさんがいた。奥さん先生よりもかなり年下で、裕福ではないものの、しっかりと躾られてきたお嬢様だった。2人に子供はいなかった。先生学問に造詣が深く、俗っぽさもなく、僕は先生と共に人生最後モラトリアムを過ごした。

大学卒業が決まる頃に先生が若くして亡くなり、故郷の父も病気で亡くなった。

僕は父の財産と、遺言により先生財産相続した。大学教授と友人の伝手で官吏の職に就き、若くして未亡人となった先生奥さん結婚俗物役人として暮らしている。

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