2021-07-16

法律を学んだことのある人は「殺人」という言葉をあまり使いたがりません。

なぜならば「殺人」というのは「故意である対象者を殺すという意思のもとで行われる行為)という原則があり、過失致死と殺人故意の有無でまったく違う犯罪からです。

そして故意であることを立証するのは非常に難しいのです。

勿論未必の故意だとか一般的想像しうる範囲での故意といった概念はあるので、全てを立証する必要があるとまではいかないのですが、それでも加害者の自供というのは故意の有無に関する立証では最初検討すべき基本となるので無視することはできません。

加害者が「殺す気はなかった、とにかく車を止めるので必死ブレーキを踏み続けたのだ」と言う限りこれを無視することはできません。

客観的証拠からブレーキではなくアクセルを踏んでいたと明らかになっても本人の主観においてブレーキを踏んでいたという認識である限り、殺人故意基本的にないもの判断せざるを得ません

仮に殺人を問えるケースを考えるとするならば「彼奴らがムカついたので車をぶつけてやった」「誰でも良いからひき殺したかった」くらいの自供がある場合客観的証拠として加害者被害者の間に怨恨、遺恨などの関係性があり殺害することによる利点が明確な場合などに限られると思います

こうしたことから加害者故意がある程度認められない限り、殺人(=故意に殺した)という言葉は使わないのです。

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