2020-07-17

めぐる頁を終わらせたいのか、

 最後に会ってたか10日が過ぎようとし、最後LINEから4日。経過した時間問題ではない。向こうの少しばかり長い恋愛事情、そしておそらくはまだ僕に伝えてない何か。急に消えないと言っていたのに、結局僕は選ばれなかった、終わったのだとようやく認識できた。そう認識できた途端、酸辣湯麺けがやけにうまかった。それ以外は喉を通らない強情さ。クリーミーではない澄んだ辛さの坦々麺を食べに行こうとか、無邪気に誘ったじゃないか。そんな辛い記憶酸辣湯麺で塗り替えてやる。

 特にやる気もおこらず、ガスト赤ワインデキャンタをたのむ。下に引っ張りすぎたTwitter更新を渋っている。Kindleでも開くか。短歌がわかるわけではないが、穂村弘は好きだ。サインだって持っている。あのゆっくりジェントルな話でいて、甘ったるいちょっと子供のような声が好きだ。とか言いながら、好きな文体東直子

 穂村弘短歌ください』。既読だ。重いものは読めないと思い、なんとなく開く。栞は18%にいるらしい。

“君というあなたが呼んだ何者か わたしはそれになりたかった”

 開いたところにあった一首。何者かであったのだろうか。もう呼ばれることもなく不定形のまま、しばらくはグニャリとしなければならないのかな。

 いや、そんなことは本当にどうでもいいんだ。それより、この歌を詠んだ人、名前が同じじゃないか。本当にやめてくれ。同じ名前の人がこんな歌を詠んでたよ、それもたまたま開いたら!無い奇跡ではないが、囚われるじゃないか。早く伝えたい。聞いて欲しい。

 穂村弘解説で、「切実な思いを、生な云い回しではなく、「君」「あなた」「何者」「わたし」「それ」という抽象的な語の組み合わせによって敢えて表現することで、一首の世界が深まっていると思います」と。まったく抽象的な語ではない名前しかも同じくひらがなという名前にまた現実が切実さを帯びてきた。嫌だな。

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