2019-09-23

ムロに卑弥呼がいた

ムロに大根取りに行くと、普段のすえた匂いではないものを感じた。

奥のちょっと広い空間に稲わらで丁寧に編まれたと覚しい筵があり、そこに片膝を立てて座る女がいた。

義務教育で習った通りの貫頭衣で、部分的に絹があしらわれている。

義務教育で習ったものとは異なり、服は薄汚れシミなども目立つ。

これは宮に籠められ、ほとんど衣服の交換がないことが原因と後で知る。

義務教育で習った銅鏡や珠を装飾として身につける。

女の周りには青白い燐光わずかに散り、時を超えた名残を示す。

筵の手前には幣や火鉢弥生土器!)、鉄器などの祭祀具がある。

何かを焚いており、それがムロのすえた匂いを変えていた。

女は弥生古墳時代日本語を話すものから何が何だかからない。

私もだんだんキレてきて「俺んちのムロは古墳じゃねーんだぞこのタコ助!」と現代語で応酬する。

女は偉そうに食料を要求してくるので、高度経済成長の成果を見せつけてやる。

ペヤングと、家の冷蔵庫にあったスーパー惣菜コロッケ唐揚げ)やごぼうのきんぴらなどとともに、電子レンジて温めた米を持っていく。

やっぱ弥生人には米でしょ! あとでハンバーガーガパオエビチリも食わせてやったが(楽天ペイで)。

ペットボトルお茶と、ドラッグストアで売ってるサンガリアいちごみるく(超うま)もセットだ。

その頃には俺も冷静になって、言葉はわからないけど身分いか漢字わかんないかなーと思って、適当に「卑弥呼」とか「景初三年」とか適当弥生人にトレンド言語を紙に書いて持って行った。

女は驚いて私から紙を奪って、それで書くもの要求した。意地悪して鉛筆渡した。

それで女が卑弥呼だってなんとなくわかったんだけど、あとで詳しく聴いてわかったことには本当は「壱与」らしい。

卑弥呼」は役割で、名前は別。

今は2駅離れたちょっと大きい駅の前で占いして生計立ててるよ。

今でも藁はあるからしめ縄は作れるし、服はシラミもいたので呉服屋にそれっぽいのを設えてもらって、香とか火鉢仏壇屋、亀の甲羅ペットショップで揃えて、勤労の義務について説明したらあとは自分から働きに行ったわ。

ガチっぽいか占い結構人気らしい。

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