潰れそうな会社でアルバイトしてた時、経営再建のための新事業のアイデアを出せと迫られた。
正社員が辞めてしまってもう誰もいなかったから、アルバイト歴が一番長い俺に矛先が向かったのだろう。
アイデア出せと言われても、経営者本人が「俺はもうアイデアが出で来ないんだよ!」という逆切れをしているような状況で出るはずもなかった。
夜の二人しかいない部屋で、怒鳴られ、机を叩かれ、追い詰められ、2時間くらい経った。もうその苦痛から逃れたくて、しょうがなく俺は前から温めていたビジネスアイデアを話した。いつか自分でやってみたいと思ってたことだ。なんで話してしまったのか分からない。ただ苦痛から逃れたかっただけ、としかいいようがない。
しかし上司は「くだらん! その程度のアイデアしかお前は持ってないんか!」と怒鳴った。
そのとき、俺は無我夢中でそいつを殴った。今までの待遇への不満、怒鳴られたことへの不満、自分が大切にしていたアイデアを馬鹿にされたことへの怒り、すべてが混ぜこぜになって出た怒りの拳だった。
当然、俺のビジネスアイデアなんてどうせ成功しないし、実行されることもなかっただろう。でもそれでも、くそやろうに馬鹿にされることだけは許せなかった。
大怪我をさせてしまったかも、訴えられるかも、とか不安は尽きなかった。でも結局、何も起こらなかった。
給料は振り込まれてなかったが、治療代としてそれは我慢することにした。
そのビジネスアイデアは結局、実行されなかった。だが、俺のアイデアと同じ様なことをやっている会社を俺はたまたま見つけた。既に似たようなビジネスはあったのだ。因果を感じて、そこに願書を出したらうまいこと採用されて、俺はそこで今働いてる。たぶん、他の志望者よりそのビジネスに対する情熱があったから採用されたんじゃないかと思う。
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