■愛おしいほどにクズ

あるクズの話をしよう。

クズは東京で生まれて、墨田区で育った。

クズの家はボロボロのアパートの一室だった。

クズはしょーもない大学生だ。

クズはコンビにの夜勤という仕事で生計を立てていた。

クズの昼夜は完全に完全に逆転している。　　　

クズの生活は崩壊していたのだ。

クズは自分の生活が管理できなかった。

クズの月３万の部屋はいつも真っ暗だった。

クズは日付も曜日も時間もわからない。

クズは食事を作るのがきらいだった。

クズの食生活も崩壊していた。

クズは1年前から頻繁に栄養失調で倒れるようになった。

クズにも趣味はあった。

クズの趣味はバイクとカメラと旅だった。

クズが最後にバイクに乗ってカメラを持って旅にでたのは3年前だ。

クズはカメラとバイクだけは大事にして、いつも磨いていた。

クズはとっくにバイクとカメラを磨く意味がわからなくなっていた。

クズはスカイツリーが嫌いだった。

クズの家を出るとスカイツリーしか見えなかった。

クズは弱ってもスカイツリーはどんどん成長した。

クズはいつからかスカイツリーに生気を吸われる錯覚をした。

クズは気が狂っていた。

クズには仕方なかった。

クズは気がついたらバイト中に発狂していた。

クズはやってしまった。

クズはバイトの客と口論になり手をあげてしまったのだ。

クズはダメだと思った。

クズはもうとっくに普通じゃなくなっていた。

クズはバイトをその日のうちにクビになった。

クズは貧乏だ

クズの預金口座には15という数字と0が四つしかなかった。

クズは所詮あと一ヶ月も暮らせなかった。

クズは3年前からろくに乗ってないバイクのキーを捜した。

クズは逃げようと思った。

クズはクズだからすべてどうでもよくなった。

クズは仕方ないのだ。

クズは家にある使えそうな荷物をまとめた。

クズの荷物はボストンバッグ一つ程度だった。

クズは久々にバイクのエンジンかけた。

クズのバイクは奇跡的にセルが回った。

クズはなきそうだった。

クズは泣いていたかもしれない。

クズは逃げました。

クズは行く当てもないですが逃げました。

クズは2012年1月4日朝7時50分東京都墨田区から逃げました。

Permalink | 記事への反応(1) | 07:48

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