2024-11-06

食事

 「ひと口30回噛んで、美味しく楽しく頂きましょう」と学校で聞いたことがある人が多いと思うのだが、結構過酷じゃないか?言ってることが。ひと口30回噛む、ということがどれだけ難易度が高いことか。

 適量の白米を箸で取り、口の中に入れて、ひと噛み、ふた噛みと噛み進めていく。すると、ご噛みほどで「ちょっと嚥下させろ!!嚥下嚥下嚥下!!!」と本能が暴れ出してしまう。「ひと口30回」を実現するには、本能を何とかして抑え込まなければならない。しかし無理に抑え込むと食物が逆流し、「うぷっ」となってしま可能性がある。これは避けたい。

 そうとなれば、やはり高速咀嚼ではないだろうか。1秒間に何度も咀嚼をし、本能が暴れ出す前に30回のノルマを達成するのだ。やはりこれしかないだろう。これならば、確実にノルマも達成できるし、食物の逆流も防げるし一石二鳥である

 これで「ひと口30回噛んで美味しく頂きましょう」は達成できた。しかし、「楽しい」かと言われると、それはどうなんだろうか。高速咀嚼意識が集中しすぎて、楽しくはないんじゃないか食事において「楽しい」とは、「触覚、味覚、嗅覚視覚(聴覚)を活用して、目の前の食べ物を味わうことに意識を使うこと」だとしたら、高速咀嚼は「目の前の食べ物を噛むことに意識を使うこと」だ。うーん、たぶん、楽しくない。それはただひたすら噛んでいるだけだもんな。味は分かるけど、ゆっくり食べるより味が薄く感じそうだ。

 「楽しい」と「健康的」の両立は、案外難しいのかもしれない。

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