保安検査場を通り抜けるときに手を振り合って「またね」と何度も挨拶をかわした。
そのあと保安検査場を抜けてあぁしばらくお別れかと思って少し悲しんでいたところ「展望デッキ上がれるみたいだから展望デッキに行く」と言われた。
「えっ」と思った。あぁそういうことができるんだと。今までされたこともないし、したこともなかった。
搭乗開始が始まって搭乗橋を歩いていると搭乗橋から展望デッキが見えて、展望デッキから手を振っている姿が見えた。こちらも手を振り返した。
飛行機の席についている間、窓から展望デッキが少しだけ見えた。
しかし展望デッキこそ見えたが、そこでは見送りしてくれた人のことはあまり見えなかった。やや残念だった。
少し後で飛行機が離陸準備に入ったとき、展望デッキが見える時間が少しだけあった。
見送りに来てくれた人は最初どこにいるのか小さすぎて見えなかったが、少しして手が振られているのに気づいた。
「見えてる?」「見えた?」「そっちにいる?」「そっちは違う」「あ、そこそこ!」とLINEでやり取りをかわしていた。
自分も、見えないだろうなとは思ったが、機内から手を振っていた。ピースしたり、パーで手を振ってみたり。
とうとう離陸になり、自分は最後まで展望デッキの方を見ていた。後日、離陸のときの飛行機の動画を見せてもらった。
安定飛行に入ったあとは、展望デッキからの見送りってすごく嬉しいものなんだなと感じていた。
別に保安検査場で別れるのが冷たいわけではない。だが、本当にギリギリまで共に過ごしたいと願うその感情に愛を感じた。
もちろん着陸後はすぐに連絡した。
機内モードにしろよ