2024-04-06

A子のいる界隈で何か色々あったらしい

あくまで私の考えだけどね」

オタク友達のA子がぽつりと話し始めた。

ファンは、推しの全てを信じなくてもいいと思うんだよね」

A子はそのままの調子で続けた。

推しはさ、私たちトキメキとか幸せとかをたくさんくれるじゃない? 活躍してる推しを見れるのって本当に素敵なことよね。でも、だからと言って、推しのやることや言うことが全て正しいとは限らないじゃない」

A子は一息ついて、

推しだって人間なんだから

A子は続ける。

推しのこと、全部肯定して、全部信じるのって『それって本当に正しいことなのかな』って思ったのよね」

A子はどこかずっと遠くを眺めているようだった。

推し自分生活思考がすべて支配されるのは、良くないんじゃないかって最近思うのよね。それも一つの幸せと言われたら、そうなのかもしれないけど」

A子は続けた。

「でもそれが『ファンとして然るべき行動』という訳では全く無いと思うのよ。『推しは推せる時に推せ』ってよく言うけど、一旦推しから離れる時があってもいいんじゃないかって、私は思うのよね」

A子は一度下を向き、深く息を吸いながら顔を上げた。

「私の人生は私のもの推し人生推しのもの。一緒くたにしたらいけないのよね」

A子はぐーっと背伸びをした。

推しのいる生活、無理なく生きていきたいものよね」

A子のこの日見せた初めての笑顔だった。

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