如何に音を出さずに透かすか。
それが俺と屁が取り交わした唯一の終着点であった。
音さえ出さなければバレない。
そう信じて疑わなかった。
でもそうじゃなかった。
押し込めらた数十匹のメダカ達、誰が吐いた泡なのか誰も気づかない。
でも本当の社会はそうじゃなかった。
オフィスの中で透かしたオナラは匂いを持って主を周りに伝える。
誰もいないトイレやエレベーターの中でこっそり出したはずのオナラさえも見逃されない。
スラックスに纏わりついた匂いが俺は屁垂れだと知らない間に伝えていた。
そうだったのか。
匂いはバレる。
それを俺は知らなかった。
そしてふと気づいてしまった。
童貞達の読み耽るエロ漫画には学校やオフィスのトイレでこっそり致すエピソードがよく出てくる。
きっとアレも本当はバレるはずなのだ。
バレないと思っているのは、シコったチンコを洗いもせずネタ次の日に、匂いを指摘してくれる友や親さえいないボッチ達だけだったのだ。
匂いがバレることを知らない。