劇的に、惹かれ合った。
恋し合った。
愛し合った。
幸せで切なくて苦しくて満たされていた。
周囲の反対、あまりに高い障害があったけど、そのどれもがわたしたちを引き返させはしなかった。
ふたりの恋愛に溺れていた。
所詮は恋愛中のドーパミン、脳内現象に過ぎなかった。
毎日一緒にいるようになって、においも嗅ぎなれて、愛の言葉は無くなって、甘い囁きは無くなって。
毎朝のトーストと目玉焼きみたいなお決まりのセックス。
初めてしたときは頭の奥が痺れたキスも、今となってはおざなりに触れるだけの挨拶代わり。
わたしたちの恋愛は終わった。
恋に落ちたあの日と変わらない彼のくせ毛。
心地よい低い声。
すこし癖のある笑い声。
可憐な笑顔。
体温。
手触り。
匂い。
どれも愛しくて手放し難いのに、少しだけ物足りなさを感じてしまう。
なんでわたしってこんなに贅沢なんだろう。
全てを失っても彼がほしいと願ったのに、彼の全てを手に入れて幸せなのに、一緒に居られる時間が宝物なのに、なぜ。
Permalink | 記事への反応(0) | 17:08
ツイートシェア