最近、父が声を荒げながら電話をしているなーと思っていた。とても珍しいことだ。いつも温厚で、家族の私さえ怒られたことがほとんど無い。
「絶対におかしい」 「弁護士や警察などに相談したらどうか」 「毎回これが最後だと言ってるじゃないか」 「最終という証明書を出してもらえ」
ずっとこのようなことを話している。この数週間は電話を切ったすぐ後も間髪入れず時間を問わず、何度もかかってくるようになった。
そして「これが本当の最後だ」と父は念を押して、電話は終わる。
一度や二度ではない。なにかの詐欺にあったのでは無いかと父に聞くと、電話の相手は叔父だという。「もう終わった話しで、お金も返ってくる」と言った。言ったが、詳しいことを話したがらない。終わったというなら、信用するしか無い。
が、今日、家族がそろっている時間にまた電話がかかってきた。何度も。聞くと、また叔父に最後の送金をしたらしい。母がキレた。
何も話そうとしない父から少しずつ話を聞く。今日振り込んだのは何万円だ。何ヶ月前から始まった。今までに父が振り込んだ額は、100万円を軽く超える。
そしてどうも叔父は、「信用のできる機関」からお金を借りるために、お金を振り込んでいるらしい。曰く、今日中に最後の一回を払い込まなければすべてが無駄になる。曰く、最後だという証明書はシステム的に出すことができない。
警察や弁護士には叔父から話をしているらしいが、叔父の話に嘘や思い込みが混ざっている可能性も考えながら朝から動くつもりだ。まずは警察だろうか。
未確定ではあるが取り急ぎ。「振り込め詐欺は、信用している人から持ちかけられるかもしれないよ」という話でしたとさ。
気が重い。