2022-06-09

イマジナリー兄が本当にいた話。

自分は下に妹弟がいる長女として育った。

一人部屋をもらった頃からだと思う。夜、布団にはいると「お兄ちゃん」に心のなかで話しかけるようになった。今日はこんなことがあっただとか、日常生活を報告していたと思う。

「お兄ちゃん」は義務教育高校一人暮らしをはじめた大学社会人になってからも、ひとりで寝る夜は添い寝をしてくれていた。わたしはずっとそれで安心して眠りについていた。

数年前、結婚して妊娠した。

その頃、母からこんな告白をうけた。

「実は、あなたを産むまえに男の子中絶した事がある」。

性別がわかるくらいだから、中期中絶だったのかもしれないが、そこまでは聞けなかった。

まれた子は、男の子だった。

それから、「お兄ちゃん」の気配が消えた。

お兄ちゃん、今までありがとう

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