2021-07-18

マイケルコースの財布

私の母はアパレル出身自分センスに自信がある人で、家族全員分の服を見繕ってくれる。

私も高校卒業まで自分で服を買ったことがなかったが、大学に入って友人とショッピングに行って自分で服を買うことがちょっとずつ増えた。しかし、買ってきた服を母に見せるたび、「色使いが微妙、60点」「なにその安っぽい鞄」など評価を受け、基本的には母の買ってきたものを身にまとう生活を続けていた。

20歳の夏に偶然アウトレットに行く機会があり、当時使っていた財布があまりにも汚れていたので、財布を新調しようと考えた。私にとって、財布は今までにない非常に大きな買い物だった。隣接するコーチケイトスペードマイケルコース店舗を行ったり来たりして、母にマイケルコースに気になる財布があるんだけどどう思うか電話を掛け(実物見てないから分からないと一刀両断された)、そうして小一時間かけて選んだのがマイケルコースの財布だった。

家に帰って早速母に見せた。ちらっと見て「ふうん」と返しただけで、大きな反応はなかったように思う。母ならきっと選ばない柄だった。でも、私は自分で選んだマイケルコースの財布が大好きになったし、あれから4年経ってもずっと大好きだ。

近ごろ財布を頂く機会があり、マイケルコースの財布はもう使わなくなってしまった。でも、あの財布を買ってから少しずつ服や靴や鞄を自分で選べるようになったし、買ったものは聞かれない限り母に見せないようになった。私にとって自立のきっかけを与えてくれた財布だった。今までありがとう

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