出産を社会維持の義務と捉える考え方も、反出生主義も、どちらも一定の倫理的正しさを持つ思想だと思う。
でも同時にどちらの思想も、社会の構成員としての責任、命を産み落とすことの責任、それぞれの考える″責任″という価値観に先鋭化し過ぎた思想だとも思う。
結局、命というものは人間の生み出した倫理という言葉で扱いきれるものじゃあないんだろうな。
だから俺は人間にできる出生との向き合い方は、正しさのなあなあを受け入れることだと思っている。
最低限、子供が一人立ちできる時まで支えられる経済力があって子を愛し続けようという気持ちがあれば完璧な環境を用意できなくても子供を産んで良いし、もちろん産まないという選択肢も認められるべきだと思う。
産むことも産まないこともどちらも正しくもあり間違いでもあるのだから、そこに義務や禁止を持ち込むのは馬鹿げているし、出生についてはガチガチに論理武装しようとするよりも自然態の在るがままで考えるのが一番なんだろうな。