私は趣味で街中の写真を撮っている。そのような写真は殆ど自己満足のために撮っているので、その是非について特に疑問は浮かばない。
ここで家族写真について考えてみる。写真を趣味にしていない人でも子供や祖父母の写真を撮るだろう。だがこれは本当に良いことなのだろうか?
まず子供の写真について考える。ある程度自分が成長して、子供の頃の写真が全くなかったら、自分は親に愛されていなかったのだろうか、と思うだろう。これは写真が我が子を愛していることの象徴になるからだ。だが写真を撮るよりも、しっかりと向き合って子供を育てることの方が大切なのではないか。写真を撮ることが、子育てをおろそかにすることにつながるわけではないが、子供の写真を撮ることは、幼かった子供を永遠に保存しておきたいと願う親のエゴに過ぎないのではないだろうか。
祖父母などの死が迫っている高齢者も同様である。写真を撮っておけば、その人が亡くなった後でも、その人を擬似的にずっと手元に置いておくことができる。だがこれも亡くなった人のことを徐々に忘却してしまうのを恐れて、逃げ道を作っているだけなのではないだろうか。そうするよりも、亡くなる前に、その人に誠実に向き合うべきだと思うのだ。
これまで述べてきたように、家族写真を撮ることは一見愛情や家族の豊かさを象徴するように見えて、家族との真摯な向き合いを放棄することのような気がしている。
嫌なら撮らなきゃ良いじゃん 写真ってのは思い出の引き出しだから、何年経ってもその振り返りができないってデメリットしかないよ
人間の記憶力なんて大したことないから撮っとかないと忘れちゃうんだよね
ある程度年数が経つと、その人や物そのものではなくて、自分が写真を通して想像したイメージを記憶するようにってしまうので、それを恐れてもいます。