朝、出社後、急に腹が痛くなった。しかもエレベーターの中でだ。差し込むような痛み、そして強烈な圧力で肛門括約筋を攻める便意。うんこが出たがっていると、すぐにわかった。
しかしすぐには手が打てなかった。このエレベーターは重たい機材の搬入出にも使うもので、積載量はやたらと多いがスピードもひどく遅い。のろのろと4階から1階へ向かっている。ベーターの中には人が8人ほど。絶対にここで漏らすわけにはいかない。
しかしそんな私の意志とは関係なく、便は出るときは出るのだ。ムリムリムリィッ! と出た便を、何とかかばおうとして、私は右の手の平をズボンの中に突っ込み、肛門に当てた。手の平の中に暖かい粘着質のものがもりもり溜まっていく。ああ、やってしまった。匂いも漂って来た。だがまだベーターは2階にも着かない。私以外のみんなは談笑しているが、この便臭に気づかないのか?
結局ベーターを降りてトイレまで右手にうんちを載せたまま駆け込み、よーく手を洗って事なきを得た。うんちを漏らしても社会では生きていけるんだ。
「致命傷で済んだぜ」の典型かな? ともあれ意志でコントロールしきれてない時点で、タイトルは「便失禁」が妥当な気も。