2019-08-11

蝉しぐれを横にキスしながら思い出す元彼の話

彼が遊びにきた。年下のすごく可愛い、賢い子。

一緒にiPadを見ながら次にデートに行く場所について話していると、「キスしていい?」と彼が顔を寄せてきた。

その日は久々に会えたから、お互いの唇にすごく夢中になった。

ふと見つめ合った時、蝉しぐれが響いていた。

この前ふいに、「あなたが一番愛した人は誰ですか?」と聞かれた。

思い出したのは、1年以上前に別れた元彼だった。

元彼は、見栄っ張りで不器用で斜に構えてて、そのくせ効率悪くて生活能力が著しく低い、言ってしまえば「カッコ悪い」ヤツだった。

最初は私に対しても斜に構えていたけれど、意地悪なあだ名不器用なりに私に尽くそうとしてくれるような態度でなんとなく愛を見せてくれるようになった。

すごくピュアで人のことが大好きなんだけど、自分に自信がなくて見栄を張ってしまう彼がどこか放っておけなかった。

でも私が世話を焼くと彼のためにならないし、生活能力の低い彼と長く一緒にいるビジョンが湧かなくてお別れした。

彼は「別れた女とは連絡を取らないって決めてる」と言った。私もそれは守ろうと思って、彼とは一切連絡を取っていない。

もう引っ越したと思うけど、彼が住んでいた築40年のアパートはお墓の近くにあって、夏はものすごい蝉しぐれだった。

だらしなく昼頃に起きて、枕元でパンをかじりながらワイドショーを見て、飽きたなと思った瞬間に見つめあってキスをする、そんな週末をいつも過ごしていた。

そんなだらしなくてダメな私を、目の前の彼は元彼のように許容してくれるだろうか?

目の前の彼は、私にカッコ悪いところやダメなところまで見せてくれるだろうか?

目の前に彼がいて、蝉しぐれがうるさくて、私の心は少しざわめいた。

  • 毎回同じって感じ?

    • 元彼との日々は毎回同じだったかな。 彼の家に行ってセックスして、昼に起きてまたセックスして、散歩して。みたいな。 それでもなんとなく幸せだったんだよね。 一緒に過ごすなん...

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