2019-07-21

昨日、深夜に女が座り込んでいた

誰にも言えないが、誰かには伝えたいのでここに書く。

深夜、日課のやけ酒をしていると酒が切れていることに気がついた。

俺は寝間着のまま外に出てギコギコ煩い自転車に乗り込んだ。

はいつもこの瞬間が大好きだ。深夜特有雰囲気と冷えた空気、それをゆったりとしたペースで身体に受けながら、暗い住宅街を抜けてコンビニまでの短い道のりを堪能する。

そんな道中の話。

道路歩道の出っ張りのところで一人の女が座り込んでいた。その女は驚くような薄着でただただ力なく座り込んでいた。

暗くてよく見えなかったが、缶のブラックコーヒを片手にどこかを眺めていた。

俺はその女を横目に通り過ぎて目的地に向かった。

コンビニでもその女のことを考えた。

「何かあったのかも」

「ただ涼んでいるだけかもしれない」

あんな薄着で」

「なんでこんな夜中にブラックコーヒなんだろう」

酒を買いながら一通り考えて、コンビニを出る頃には腹が決まった。

「まだあそこにいるなら、今度は話しかけよう」

いないことを願っていたが、女は変わらずそこに座り込んでいた。

俺は女の前で自転車ブレーキをかけた。この自転車はオンボロ。ガタガタ言いながら、すこし女を通り過ぎて自転車は止まった。

女は身をぱちくりさせて俺の顔を見た。自分自身に緊張する隙を与えないように、すぐに話しかけた。

大丈夫ですか?」

女はなんとなく、すこし笑みを浮かべて力なく首を横に振った。そうか、と思って俺は無言で自転車を家の方向に進めた。

その日は家に帰っても酒は飲まなかった。だけど数日ぶりによく眠れた。

それだけのことだ。意味はない。だけど誰かに伝えたかった。

  • ヤバイ奴っぽいのによく話しかけたな。増田優しい。

  • 心配してくれてありがとうって、女の人思ってるよきっと。 そうだといいね。

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