先月、
理由はただ一つです。
宮近くんのお仕事が忙しくて、
会える時間がめっきり減ってしまったから申し訳ない、と振られました。
別れ際、彼はまだ私のことをすきと言ってくれたけれど、やさしい宮近くんの事だからきっと、私を傷付けないためについてくれた嘘なんだろうね。
ごめんね。
別れてからもう1ヵ月近く経つけれど、
私は宮近くんの事を全くと言っていいほど忘れられません。
特に街を歩いていると、ふいに宮近くんのことを思い出す事が多くて苦しいです。
エナメルバッグを持ってまっくろに焼けている高校生を見ると、二人で抜け出したあの日の合宿を思い出します。
美容院に行って心機一転髪を切ろうとしても、宮近くんがタイプだと言ってくれたこの長さを切ることなんて出来なくて毛先を揃えるだけで終わったり。
宮近くんの好きなカフェチェーンの前を見ると、つい宮近くんを探してしまうし。
街には宮近くんとの思い出しかなくて、本当に苦しいです。
その中でも一番辛いのは、宮近くんと同じ匂いの人とすれ違うと、つい振り向いてしまう事。
昨日なんか特に酷くて、ついに宮近くん本人とすれ違ったのかと思わず声をかけそうになりました。
でも、やめました。
背丈も、私が宮近くんにあげたスニーカーも、その男性もこちらを振り返った事も、全部全部宮近くんにしか見えなかったけれど。
その人が手を繋いでいたショートカットの女性は、何から何まで私とは正反対だったから。
宮近くん、元気にしていますか?
お仕事忙しいと思うけど、体調に気をつけながら頑張ってね。
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