小さい頃から白い米の飯が好きだった。
小学校の卒業文集で、『一番好きな給食の献立は?』という問いに『ごはん』と書くくらいには。
ご飯を美味しく食べたいから、白いご飯が汚れるのが我慢ならなかった。茶碗でおかずを受けることは絶対にしない。おかずと一緒に咀嚼することもしない。当然何か混ぜたり何か掛けたりする様なご飯料理も苦手だった。ご飯はご飯としてのみ存在すればいい、いやするべきだ。と思うような原理主義者だったのだ。
よく、『ご飯に合うおかず』とか「○○さえあればご飯何杯でもいけます!」という表現を見聞きするが、僕はこれには大きな疑問を抱いていた。
だってさ…。
おかず、とりわけご飯に合うとされるおかずは味付けが濃いのが相場である。そんなものとご飯を一緒に口に入れたら…。味覚はおかずの味に支配され、繊細なご飯を味わうことは叶わなくなってしまう。だからあれはあくまでおかずを美味しく食べる方法だ。『ご飯に合うおかず』ではなく、「おかずにご飯が合うだけだろ」とずっと思ってた。
今はどうか。年月を経たせいか、かつてほど極端な食べ方はしなくなった様に思う。
味付きのご飯や、おかずと一緒に食べる食べ方も許せるようになった。大分丸くなったと思う。
…でも。
ご飯の一番美味しい食べ方は、やっぱりご飯だけで食べることだと今でも思う。炊きたてのアツアツではなく、冷ました方が美味しい。かといってでんぷんがβ化するまで冷やしては元も子もない。冷めたてのホヤホヤくらいが丁度良い。