午前5時、凍った雪を革靴で踏みしめて仕事へ向かう。
道には僕一人。と思いきや反対側から向かってくる人がチラホラといる。
昨夜帰宅を諦めた人が始発で帰ってきたのだろうか。
向こうは向こうで、こんな時刻にスーツにコートで駅に向かう僕を電車の混雑を避けてこんな時間から出社する社畜だと思っているだろう。
雪かきに向かうのだ。
遠方に雪かきしに行くのにいでたちが普段通りなのは、午後に都内で打ち合わせが控えているからというのと、この程度の積雪なら革靴でも平気だからだ。
行き交う人にはそれぞれ事情があるもので、まさかこんな格好の僕が午前中を雪かきに費やすとは誰も思うまい。
同様にすれ違う彼らも帰宅難民ではないのかもしれない。
しかしこの歳になって、深夜帰宅、仮眠をとって出勤をやるとは思わなかった。
いつになったら楽な仕事ができるのだろう。
たぶんそんな日はこないことは分かっているのだけれど。