2017-08-18

食べ物がないことが一番怖い

東京下町で生まれ育った祖母大工棟梁の娘だった。

若い衆をたくさん養っていたので、毎食ご飯を炊いておかずを用意する。残り物で済ませるということがない。

祖母は「冷や飯を食べたことがない」「(祖母認識ではおかずがないときに作るものから味噌汁食わず嫌い」なことを自慢していた。

若い衆たちが配給の権利を残したまま出征したことと、若い衆の実家(近隣の農家から食べ物をわけてもらえたことで、戦争中食べ物に困ったことはないらしい。

話を盛るタイプ祖母だったので、どこまで本当かわからないのだが、食べ物に苦労したことがないことだけは本当なんだと思う。

そんな祖母の語る東京大空襲は、死体が浮いた川の水を飲んだみたいな定番エピソードも出てくるのにまったく真に迫らずのんきなものなのだ

よく気を付けて聞いてみると彼女自身生死の境をさまよっているのだが。

食糧不足いかに人の精神を圧迫するのか、逆説的に実感した。

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