2017-08-01

出典は、詩経ではなく、詩経注釈である

https://anond.hatelabo.jp/20170731142310

詩経が載せる詩句は、以下のとおりであったとされる(邶風第五《終風》第三章)。しかし、数百年も経てば、その意味は分からなくなってしまう。

終風且曀 不日有曀

寤言不寐 願言則嚏

そこで、後漢の鄭玄(AD 127-200)は、第四句「願言則嚏」の意味を「あなたが私を思ってくれたら、私も嚏をするはずなのに。」という意味である解釈し、その旨の注釈を加えた。いわゆる「鄭箋」である元増田のいう「今俗人嚏云人道我、此古之遺語也」は、その「鄭箋」中の語句である

この鄭玄の解釈が正しいなら、元増田がいうとおり、詩経時代から「噂をすればくしゃみをする」という考え方があったことになる。

しかし、この第三句、第四句について、単に「あなたのことを思って夜も寝られず(寤言不寐)、体調を崩して風を引いて嚏をした」という身も蓋もない解釈もある。

この解釈が正しいとすると、「くしゃみをしたら…」の迷信存在は、差しあたって鄭玄の時代にまでしか遡れないということになろう。

もとより、この迷信について、鄭玄の上記解釈を前提とする説明自体は、万葉集和歌と絡める部分を含め、江戸時代から指摘されていたような話のようであり、その点に関する元増田理解を間違いと断じるわけではない。

しかし、ソースをググれば、例えば「《箋》今俗人嚏云人道我、此古之遺語也」と一発で出てくるのに、「《箋》」でピンと来るような前提知識がないと、この点に不正確な部分を残したまま、トリビアとして広まってしまう虞もあろう。

それを防ぐという名目で、深夜にペダンチズムに耽った次第である

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