嫌われたくなさすぎて、人付き合いができなくなった。
今日は面白い映画を見に、自由席の映画館へ行った。最近精神的にピリついている私は、なぜか頬の下あたりがかゆくなって、上映中に何度も掻いてしまった。
上映が終わり、場内が明るくなり、荷物をまとめて席を立った私は、真後ろに座っていた女性が隅っこの席へ移動する姿を見てしまった。
頬の下を掻く私の手が邪魔だったのだろう。私は見ず知らずの人に嫌われてしまったのだ。
渋谷の街を歩きながら嫌われずに生きていく方法を考えていた私は、上京してからというもの、嫌われたくない一心で、友達を作らないでいることに気づいた。
というのも、親しさは体力ゲージみたいなもので、親しくなればなるほど貯まっていき、嫌われれば減っていくものだと思っていたのだ。
つまり、誰とも親しくならなければ、ゲージは貯まらない。減るゲージが。
孤独に身を置くことで安心していた私は、今日、赤の他人にも嫌われる可能性があるということに気づいてしまったのだ。
今考えれば、どうしてこんなことに気づかなかったのか。あまりにも他人に無関心すぎて、他人を嫌いになることすらなかった薄っぺらな時間が突然重くのしかかってきた。
情けなくて泣けてくる。安心は鈍感を生むんだな。