近所の神社で比較的大きいお祭りがあった。的屋が山ほど出て、中学生くらいの男女がこぞってお金を落としている。
子供を連れて嫁と参加してたのだけど、子供が遊んでいる間に一服しようと少し離れた本堂に続く石段の途中に腰を掛けた。
そこからは境内が一望できて、みんなが遊んでいる姿をよく観ることができる。
何の気なしに振り返ると、何段か上に普段着の特別特徴のないおっさんが座っていた。
誰かと一緒なわけでも、お祭りらしい格好や所持品を持っているわけではない。
それほど気にせずに、視線をまた祭りに戻して子供の姿を追った。
どうやら祭りに参加している人間たちを見て、思ったことを口にしているようだった。
そんなに祭りが気になるなら降りていって参加すればいいのに。
なんとも居心地が悪い気がしてさっさとタバコを消してその場を後にすることにした。
子供の金魚すくいを手伝いながら、ふとさきほどのおっさんが何かに似ているような気がした。
生憎の曇り空。彼の頭上に星は一つも見えなかった。